歯周病 全身疾患との関係
歯科でも生活習慣病が話題になっています。それは歯周病です。成人の70%以上が歯茎になんらかの異常があります。
中年では、実に90%近くに達して、年齢とともに重症化していくとの調査もあります。
近頃、その歯周病が全身疾患と非常に関係があることがわかってきました。
歯周病を引き起こすバイ菌が、肺炎や細菌性心内膜炎を起こし、さらに血栓を作り脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。
妊産婦では、早産、低出生体重児の危険があります。近年、糖尿病との関係が非常に深い事もわかってきました。
歯周病も糖尿病も、どちらも生活習慣病であり血管の障害や免疫の低下をもたらします。
また、糖尿病の人に重症の歯周病が多いこともわかってきました。
興味深いことに、歯周病の治療を行い、プラークコントロールがしっかりしてくると、血糖値が下がることもわかってきました。
このように、歯周病は様々な全身疾患に影響を与える危険因子となります。
全身疾患を抱える人はもちろん、そうでない人も歯周病をコントロールすることで健康な生活を送ることができるようになります。
歯周病は悪くなるまで、自覚症状があまりなく、気付きにくい病気です。口臭がするとか、朝起きた時に口の中がネバネバするとか、歯磨きの時に血が出る人は歯周病の可能性があります。一度、歯科で検診を受けてみてください。
歯周病の症状は、歯周病菌に対する免疫系が歯肉部分で過剰反応することで悪化していきます。
通常、免疫反応は身体を守るために働くのですが、歯周病細菌が歯肉に刺激を与え続けると、歯周組織のマクロファージやリンパ球が産生するのは酵素類やサイトカイン類などが、局所(歯肉)に蓄積します。
酵素類はコラーゲン繊維などを切断・溶解する作用を持っています。
サイトカイン類は、IL_1(インターロイキン1)、IL_6(インターロイキン6)、IL_8(インターロイキン8)、TNF__(腫瘍壊死因子)など多彩な生理活性を示す炎症性サイトカインと呼ばれるタンパク質です。
これらは、血液中に入っていろいろの全身疾患に悪影響を及ぼします。
局所的に産生された炎症性サイトカインは、歯周組織に対して悪影響を及ぼすだけでなく、血液を介して全身疾患にも負の影響をもたらします。
最近の研究では、糖尿病、心臓血管病、低体重児出産・早産などが歯周病に関連する疾患とされています。
また、肺炎、骨粗しょう症、腎炎、関節炎、発熱などへの関連も疑われています。
しかしながら、このことに関する研究成果や発表の多くは米国の大がかりな疫学研究が拠りどころとなっており、日本では確証となる介入研究はまだ不足気味です。
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